2026
sannpuru
投稿者: クラゲザウルス
海辺の引っ越し屋
潮の匂いがする岩場に、一匹のヤドカリが暮らしていた。名前をカニタという。本当はカニではないのだが、見た目が似ているからと、まわりの生きものたちはそう呼んだ。
カニタの悩みは、住みかの貝殻がきつくなってきたことだった。背中の殻はもう、ひびが入りそうなほど小さい。
「新しい家を探さなくちゃ」
カニタは砂浜をとぼとぼと歩いた。けれど、ちょうどいい貝殻はなかなか見つからない。大きすぎたり、割れていたり、すでに別の住人がいたり。
夕暮れどき、波打ちぎわで、つやつやと光る巻貝を見つけた。大きさもぴったり。けれど中から、小さな声が聞こえた。
「ごめんね、ここはぼくの家なんだ」

見れば、カニタよりもっと小さなヤドカリが、おそるおそる顔を出していた。
カニタは少し考えて、にっこり笑った。
「じゃあ、いっしょに探そう。きみにはきみの、ぼくにはぼくの家がきっとある」
二匹は並んで、星の出はじめた砂浜を歩いていった。寄せては返す波の音が、まるで「いってらっしゃい」と言っているようだった。
約500字です。記事サンプルとしてお使いください。トーンを変えたい場合(もっと大人向け、ユーモア寄り、ホラー風など)や文字数の調整もできますので、お気軽にどうぞ。
