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架空の海辺の生活史

架空の海辺の生活史

神乃

架空の海辺の生活史

神乃

A5/60頁

発行

2025年9月20日 初版第一刷

2025年11月2日 第二版第一刷

2026年7月19日 第二版第二刷

紹介

短歌148首を収録しています。

連作「架空の海辺の生活史」「スーパーおもちライフ」「カーシニゼーション」「地球に生まれて」「雪の予報」「内陸都市のハイドログラフ」からなる一冊です。

いくつかの歌をご紹介します。

ばあちゃんの指差す花をもう二度と 幼少期の僕が摘んでいく

好きだった人にきっとなる人に会うあげたっていい本を持ってく

百年後まことしやかに語られる都市伝説にあなたの名残

芸術家タイプの君もコンビニで買うのは決まったチューハイばかり

梅・桜・桃を見分ける先輩がただ海とだけ呼ぶ海がある

ワンタイム・パスワード 去年狂うほど笑った単語が思い出せない

図書館は本だけでなく屋根があり雨から僕を隠してくれる

(神乃『架空の海辺の生活史』より)

コメント

掲載する歌の選をしてくれた穂波さんからコメントをいただいています。

ばあちゃんの指差す花をもう二度と 幼少期の僕が摘んでいく

「架空の海辺の生活史」

目新しくはない内容を、上下の使い方で新鮮に表現していると思った。三句目の言いさしが、下の句の内容に記憶や空想の質感を与えている。

好きだった人にきっとなる人に会うあげたっていい本を持ってく

「架空の海辺の生活史」

前半では予感が言われている。その予感は後半で本に託される。本はそれを確かに負い切っており、その本が辿る行方を思った。

百年後まことしやかに語られる都市伝説にあなたの名残

「カーシニゼーション」

百年後と言っていることから、まことしやかに語られる百年前であることが分かる。しかし、「名残」と読む頃には時間が経ち、あなたはもう都市伝説になっている気がする。

芸術家タイプの君もコンビニで買うのは決まったチューハイばかり

「スーパーおもちライフ」

穏やかな視線がある。タイプの分類がある一方で、それに収まらないところもある。そのことを身近にいる人だけが知っている。

梅・桜・桃を見分ける先輩がただ海とだけ呼ぶ海がある

「地球に生まれて」

上の句で花の区別を提示し、下の句で海の無区別を提示することで、花にあるような区別が、実は海にもある予感が漂う。

ワンタイム・パスワード 去年狂うほど笑った単語が思い出せない

「雪の予報」

冗談はいつも時々に根付く。それは一時のことで、それをワンタイム・パスワードというのが面白い。笑いを引き出すためのパスワード。

図書館は本だけでなく屋根があり雨から僕を隠してくれる

「内陸都市のハイドログラフ」

隠してくれる、という動詞が、雨を水より怖いものにしてくれている。濡れてしまうより恐ろしいことがあり、単なる雨ではない感じが喚起された。

初出

「カーシニゼーション」

つくば現代短歌会『つくば集 第4号』(2024)

「雪の予報」

『短歌研究』第68回「短歌研究新人賞」(2025)

その他は未発表作です。

「内陸都市のハイドログラフ」は本書のための書き下ろしです。

表紙イラスト

表紙を上海蟹さんにご依頼しました🦀

架空の海辺が、まるでほんとうにあるかのようです。

頒布イベント等

  • 文学イベント東海(終了)
  • 文学フリマ東京
  • 静岡文学マルシェ
  • 編境
  • 2026夏現在第三刷を所持しています。イベント外でほしい方は神乃へお声がけください。

ご連絡・感想

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeEvaFwRVL0-eELWe8iS_4zGLHb1RUiOPUOrwdcgrw6srdiwg/viewform